社労士の主要業務:企業向け

社労士の業務は、多方面にわたっているので一口では言い表すことはできませんが、労働社会保険関係及び人事・労務管理の専門家として、企業をサポートするのが主要業務といえます。

 

企業を経営するには、ヒト・モノ・カネ・情報の4要素を押さえることが重要とよく言われますが、このなかのヒトに関する部分にかかわるのが社労士です。ヒトの採用から退職までの労働及び社会保険に関する諸事項をスムーズに回るように企業をサポートするのが大きな役目です。


社労士の主な業務内容

==========================================
■社会保険労務士の業務概要
1.《代理・代行》
●労働基準法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、 健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、  介護保険法などの申請書等の提出
●休業補償、出産育児一時金、出産手当金、傷病手当金などの請求
●労働保険、社会保険の加入・脱退、給付金、助成金などの請求

2.《書類作成》
労働者名簿、賃金台帳、就業規則、賃金賃金・退職金規程など

3.《相談指導》
賃金、退職金、労働時間、福利厚生、年金、採用、人事、賞与、解雇、定年、教育訓練、能力開発 、安全衛生管理、個別労働関係紛争の事前防止や解決、紛争調整委員会におけるあっせん代理、労 務診断など
==========================================

 

1:人事・労務管理
法的にみれば、企業と社員というのは対等の立場で契約を結んでいる関係です。簡単にいえば、労働力を提供して仕事を請け負った社員に対して、企業が給料という対価を支払うという契約です。ただし、実際にはこんなに単純ではなく、社員に対して、企業は様々な義務・責任を負うことが法律で定められています。

 

人事・労務というのは会社側からみれば、法律を順守する形で、雇用している社員・スタッフを管理することですが、法律というのは常に変化しています。労働契約法・パート労働法改正・労基法改正と、今の日本では労働者保護の政策が次々と出されています。


また、少子・高齢化時代を迎え、事業主は、法律により定年を60歳以上に設定することが義務づけられ、定年後も65歳までの再雇用の努力が求められていますし、定年後の生活設計なども今後の重要な課題となってきています。

 

さらに、女性の職場進出に伴い、女性の能力を如何に活用するかが企業の主要な要素となってきており、男女雇用機会均等法でも、そのための具体的な指針が示されています。

 

経営者はこれらの変化に対して、その都度、対応することが求められます。それだけでなく、働く人の意識も大きく変化、職務内容や勤務形態も個人ごとに異なった希望を持つようになってきており、従来のような一律の人事・労務管理では対応できなくなってきています。

 

新しい時代に合う形でヒトの管理をするために、就業規則の見直し、年俸制、職能給等の導入など賃金体系の変更等が必須となってきていますが、これらも、簡単に答えを導き出せることではありません。

 

専門的知識を駆使して、企業の状況に応じて人事の諸問題について適切なアドバイスを行うのが社労士の役割となります。

 

2:年度更新・算定基礎業務
社員を雇用している企業は、毎年1回、労働保険(労働者災害補償保険・雇用保険)と健康保険・厚生年金の保険料を算出して、申告・納付する義務があります。意味合いは違いますが、事業収支を計算して税金を納める確定申告のような手順の作業です。

 

ちなみに、労働保険料を算出して、申告、納付することを『年度更新』、健康保険料を算出することを『算定基礎』と言います。

 

これらの算出が正確に行われなければ、雇用保険の失業給付、健康保険の保険給付の額や、将来の年金額に大きな差が出てきて、受給者が不利益を被るケースもでてきますし、その場合、事業主に損害賠償責任を請求されることもあります

 

極めて重要な作業となりますが、計算の基礎となる賃金の定義や保険料の算出については専門的知識が必要です。

 

事業主が申告や届け出を所定の期限までに行わなかったとき、申告した額に誤りがあったとき、また保険料を所定の期限までに納付しないときには、認定決定による追徴金や延滞金が徴収される場合があり、適正な事務処理を行い、期限までに完了させることも必須です。社労士は、これらの事務処理を事業主に代わって的確に行います。


3:安全衛生管理
労働者の安全管理、健康の保持増進を確保するのは事業者の責務となっています。労働災害の防止、従業員への安全衛生教育等を通じて、職場環境を適切に保つことが企業には求められます。社労士はそのためのアドバイスを行います。


4:就業規則の作成
就業規則は、その名の通り、就業に関する様々な規則をまとめた会社の憲法のようなものです。労働基準法の規定により、法人事業所、個人事業所を問わず常時10人以上の従業員を雇用する事業主に作成が義務付けられています。

 

就業規則は自由に作ればいいというわけではなく、記載すべき内容は、労働基準法を始め、関係法律によって定められています。それらを満たす内容でなければ、認められません。また、作成手続についても、法定の手続を経ることが必要です。

 

就業規則の主な構成要素は、就業時間・賃金・退職・職場規律等といったものですが、一度、就業規則が作成されれば、その規則に基づき、労働条件が設定されるので、個々の企業の実状に合ったものであることが重要です。

 

市販の就業規則で間に合わせるなど、おざなりな形で作成すると、現実と大きな喰い違いがでて、従業員との争いが生じたり、労働基準監督署から注意されたりするケースがよくあります。

 

就業規則は、労働条件や雇用管理に関する法令が次々と制定あるいは改定されるのに適合させることが求められるので、常に見直すことが必要です。また、各種助成金の申請の際にも就業規則の添付が要求されるため、資金繰りの一貫として助成金の活用等を考えている企業は、従業員数に関わらず作成が必要です。

 

企業の実体に合った就業規則の作成を行うことも、社労士の大きな役割であり、そのためには労働基準法等の関係法令はもとより主要労働判例、解釈等に精通することが不可欠です。


アドバイスと書類作成代行が社労士の仕事の基本

社労士業務の特質としてあげた『代理・代行』、『書類作成』、『相談指導』の3つは、ここまでお伝えした全ての業務に関わってきます。

クライアント企業の実情を見極めたうえで適切なアドバイスを行うことで、社内体制・環境を整えながら、その一方で義務づけられている書類の作成を行うというのが一般的な流れです。

 

社労士の仕事というと見た目は書類を作成したり、手続きの代行をすることのように見えますが、その根本をなすのはクライアントとコミュニケーションを取ることなので、『相談指導』は避けて通れません。

 

相手の話を聞いて、的確なアドバイスをするカウンセラーのような役割も必須なのが社労士という仕事なのだと理解しましょう。ここがうまく出来ないと、社労士として一本立ちするのは厳しいです。人と対話するのが苦手というタイプには向かない職業です。

banner.jpg


※行政書士として年収1000万円を達成した横須賀輝尚が、その課程で気付いたコツをまとめたレポート。士業者として成功を出すためのポイントが分かりやすく解説されています。

このページの先頭へ